「休日たくさん! ラクなのに高収入!」そんな噂が広がり、大学職員への就職が人気を呼んでいます。でも実際のところ、どうなのでしょうか? マンガ家のあんじゅ先生と、追手門学院大学客員教授の倉部史記さんという元大学職員のお二人が、悲喜こもごも、徹底的に「大学職員のリアル」を明かしたトークイベント「ウワサの人気職『大学職員』のリアルに迫る!」が開催されました。今回はその後編です。
「なんでそんな斜陽産業に行くの?」って
あんじゅ 私、漫画研究会で活動していたのですが、大学が発行している新聞で四コマ漫画を連載していたんですよ。それは学生のキャリア支援のための新聞で、新聞社出身の先生が口をきいてくれたんですね。それが、初めていろんな人に作品を見てもらった出来事でした。
大学って自分の特技が求められる場にもなりえて、自己表現ができるところなんだなあ、と。こんなに世界を広げてもらえた大学に恩返しができたらと考えたので、母校以外は受けていません。
倉部 いい話ですね。充実感がすごいですもん。僕もこういうキャンパスライフを送りたかったな。
あんじゅ 実は当時、某家電量販店から内定をいただいていたのですが、就活自体あんまり乗り気がしなくて……。そんなとき、バイトをしていた時に職員の方から「うちの採用試験は4年生の10月とか11月だから、もし就活が微妙な感じだったら、うちを受けたら。もちろん合格するかどうかは保証できないけど」という感じで声をかけてくださったことを思い出したんです。それですべり込みで受験しました。
倉部 僕の場合、新卒ではなく中途で大学職員になりました。
新卒の時はITのベンチャー企業に就職したのですが、そこは社員が5人しかいない、小さくて超多忙な会社。入社した最初の月に、早くも泊まり込みでフロアにジャケットを敷いて寝たり……。面白かったし鍛えられたのですが、二年ほど働いて――ちなみに二年間は、この業界では決して短くはないのですが――もともと関心のあった教育の仕事を探したんです。たまたま工学院大学が中途採用していた。本当にご縁です。
社長に辞表を出したら、「なんでそんな斜陽産業に行くの?」って。僕にとっては面白そうな大学業界が、傍目から見たら斜陽産業に見えちゃうのか、と。まあ、たしかに当時から少子化は叫ばれていましたし。