「トーク術」と「お願い力」は大学職員時代に学んだ
倉部 大学職員のスキルって、意外と言ったら失礼ですけれども、他の業界でも通用するものがありますし、実際、僕も役だっています。現役大学職員の方で、今ちょっと気持ちがへこみ気味とか腐り気味の人がいたとしたら、転職しても意外と今の業務が役立つよってことは伝えたいですね。
あんじゅ先生は、どんなスキルがいま役立っていますか?
あんじゅ それはズバリ「べしゃり」。つまりトーク術。あと、「お願い力」です(笑)。
当時、高校生を相手に、第二希望や第三希望で受験をしてもらうために、どういう話をすれば響くのかなと、日々考えてしゃべっていたので、基本的に人前に立つことが好きなんです。
他方、事務仕事は苦手だったんですよ。ほとんどパートさんに助けてもらっていました。パートさんは優秀な方で、「大丈夫ですよ。何でも言ってくださいね~。でも、できるだけお早めに」と、やんわり注意されながらでしたが(笑)、おかげで「お願い力」や「おねだり力」に磨きがかかりました。
倉部 それは、たしかに今夜も存分に発揮されていますね。おつまみをおねだりして、お客さんから差し入れをいただいたり(笑)、会場に持ち込んだ本をアピールして完売したり。お見事です!
ちなみに僕が大学職員をやめたきっかけは、個人的にブログで大学業界や受験事情について発信をしていたことでした。たまたま予備校の社長さんがそのブログを読んでいて、声をかけてくださったのです。大学職員の仕事が、この先どうつながるのか、いろいろな可能性がありますよね。
さて、そろそろ締めくくりの時間ですが、まず僕から一言。
大学職員が担う役割にはものすごく重要なものがあると僕は思っています。仕事柄、僕は大学職員の方と協働する機会が多いんですが、出てきたアイディアを具体的に動かしてくださるキーパーソンは、やはり職員なんです。職員が動くことで変わるものが実際にあるのですが、当人たちは実感しづらいようですね。
これから大学職員を目指そうという方には、あれこれ指摘してきたように、さまざまな課題はあるのは事実ですが、絶対にワクワクするような、世の中に役に立つ職場であることは間違いない、とお伝えしたいです。
20年前の職員の待遇を期待するのではなく、今から20年後の大学を作りたい! という人にぜひ来てほしいなあと期待しています。僕からは以上です。
あんじゅ えっ、締めくくり、私ですか(笑)。
皆さん、大学職員ブーム、作りましょう!!! 本が売れたらブームになると思うので、ぜひよろしくお願いいたします。
※本稿は、『大学職員のリアル-18歳人口激減で「人気職」はどうなる?』(中央公論新社)の刊行を記念して開催された「ウワサの人気職『大学職員』のリアルに迫る!」と題したトークイベント(大阪・梅田のラテラルで開催)の一部を再編集したものです。
『大学職員のリアル-18歳人口激減で「人気職」はどうなる?』(著:倉部史記・若林杏樹/中央公論新社)
大学職員は「年収一千万円以上で仕事も楽勝」と噂の人気職だが、はたして真相は?
大企業と似たような仕事内容がある一方、オーナー一族のワンマン経営で、ブラック職場の例もある。国公私立でもまた事情は千差万別。それでも大学職員になりたい人、続けていきたい人、辞めようかどうか迷っている職員のための必読書。