忙しい時こそ「急がば回れ」の精神で、丁寧にお茶を点ててみませんか(写真提供:photoAC)
世界的にも情勢が安定せず、厳しい環境に置かれている人や不安な心でいる人が多い中、あらためて日本文化の良さの学び直しを提唱するのは、茶道家の竹田理絵さん。茶室を開設して10ヵ国以上の国々で点前を披露し、日本の伝統文化を伝えてきた竹田さんいわく、「置かれた環境に左右されることなく、心穏やかに日々を過ごす」考え方が、茶道を通じて得ることができるとのこと。忙しい時や悩みがある時にするべき考え方とは――。

忙しい時こそ、丁寧にお茶を点てる

自分と向き合い、心を整えることで豊かな気持ちになれる

やらなければいけないことが山積みの時は、時間にも気持ちにも余裕がなく、仕事も日常も雑になりがち。

「心を亡くす」と書いて忙しいと読みますが、その字の通り、あまりにも忙しいと、平常心や優しい心が失われてしまいますよね。

そんな時こそ「急がば回れ」の精神で、丁寧にお茶を点ててみませんか。

私は、お茶には心の保湿効果があると考えています。忙しさによる心のささくれに潤いを与えるために、目の前の一碗のお茶と丁寧に向き合うことで、心が整い、余裕が生まれてきます。

生徒さんの中には、「仕事が忙しい時こそお稽古に行きたくなります。慌ただしい日常や仕事と離れるお茶の時間があるからこそ、ゆっくりとした時間の中で、自分と向き合い、英気を養い、心を整えることができるのです」と、休まず通って下さる方がいらっしゃいます。