牛窪さんいわく「キャリア女性ほど異性との出会いのチャンスが多い」そうですがーー(写真提供:Photo AC)
「産みたいときに産めない」「子どもは“ぜいたく品”なの?」子どもを持つのが難しい現代事情について、大島美幸さんや慶應義塾大学看護医療学部の山口慎太郎先生らが話し合う『「子どもがいない世界」がやってくる?』(NHK総合)が2024年1月9日に放送となります。そこで同番組に出演される世代・トレンド評論家の牛窪恵さんが、今どきの男女の出会いについて記した記事を再配信いたします。

*********厚生労働省によると、2022年の日本の婚姻数は50万4930組だそうです。前年に比べやや増加しているものの、割合としてはあまり変わらないとか。マッチングアプリや婚活サービスは増加していますが、結婚する人があまり増えないのはなぜでしょうか? そんな疑問に答えてくれたのは牛窪さん。牛窪さんいわく「キャリア女性ほど異性との出会いのチャンスが多い」そうで――。

「高年収女性は結婚できない」は本当?

女性の社会進出が進んだ’90年代後半~’10年ぐらいまで、「高年収の女性は、男性が敬遠するので結婚しづらい」といった噂も囁かれていました。

ですが、アナリストでリクルートワークス研究所研究員の坂本貴志氏によれば、「キャリア女性、すなわち年収が高い女性が結婚できないというのは、少なくとも現代においては風説に過ぎない」とのこと(’18年同「リクルートワークス研究所サイト―少子化はキャリア女性のせい?」5月23日掲載)。

たとえば、女性で年収500万円以上の層は、圧倒的に「未婚」に多いのですが、おそらくその最大の理由は「高年収女性が結婚できない」からではなく、「結婚(出産)した女性が、少なからず(非正規に雇用転換するなどして)年収500万円未満の働き方を選択するからではないか」と想像できます(’22年内閣府「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」)。

また、リクルートワークス研究所が、未婚男女の年齢・年収別に「向こう1年間で結婚に至る確率」を計算した数値も、先の“風説”を否定します。

年収が上がるにつれて結婚確率も上がる「高収入プレミアム」は、男性ほどではないものの、女性においても明らかで、年収増につれて結婚確率もほぼ上昇するのです(図表1)。

(図表1)性・年齢・年収別にみた1年以内の結婚確率<『恋愛結婚の終焉』より>

おそらく背後には、キャリア女性ほど異性との出会いのチャンスが多い、あるいは男性側が結婚後のことも考えて「収入の高い女性」を進んで選んでいる可能性もあるでしょう。

「第16回出生動向基本調査」を見ても、男性が結婚相手に「経済力」を求める割合は年々増加しており、’21年時点で約5割(48.2%)にものぼっているのですから。

また、民間(リンクバル)の調査を見ても、結婚相手の女性に「年収300万円以上」を求める男性が、既に5割以上もいるのです(図表2)。

(図表2)未婚男女(18歳以上)が結婚相手に求める最低年収<『恋愛結婚の終焉』より>