瀬川 煮物なども、ついつい濃い味つけにしてしまいますよね。

川口 日本人の死因で最も多いのはがんですが、2位と4位は心疾患と脳血管疾患。これを合わせると死亡率はがんに近くなる。いずれも高血圧が関連する病気なので、塩分は大敵です。

瀬川 濃い味が好きな人にとって、塩分を控えるのは難しそうですが。

川口 すぐに慣れるものですよ。病院に勤めていた時、よく患者さんに「味が薄い」と言われました。でも1週間も経つと、同じ患者さんが「僕好みの味にしてくれてありがとうございます」と言う。もちろん何も変えてません。(笑)

瀬川 好みも割といい加減なんですね。(笑)

川口 多くの方がお料理は調理段階で味つけをするものと思い込んでいます。でもまずはそのまま食べてみることを習慣化していただきたい。物足りないと感じたら、ちょっと塩コショウする、ちょっとお醤油をつけるようにする。それだけで塩分をずいぶん減らすことができます。

瀬川 確かに野菜スープなどは、調味料を使わなくても、野菜から出る旨みだけで十分に美味しいですよね。

川口 家系的に注意すべき病気と、育った家庭の食習慣も把握しておく必要があると思います。親戚に高血圧系の病を患う人が多いようなら、薄味を心がけたほうがいいですね。

瀬川 高血圧を防ぐため、あるいは改善するために、減塩以外にできることはありますか?

川口 カリウムが豊富な果物や海藻、豆類を積極的に取るとよいでしょう。というのも、塩分に含まれるナトリウムを尿とともに体内から排出するためにはカリウムが必要だからです。

瀬川 体って奥深いですね。