時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは熊本県の50代の方からのお便り。これまで極度のドケチだったのに、ある人に援助をすることになったそうで――。
渡世下手に癒やされる
私は今、好きでもない高齢の男性に毎月2万円を援助している。
彼は同じ教会に通うクリスチャンだ。大学を出て、教員採用試験にも受かったのに、精神の病ですぐに退職。その後アルバイトをしていたが、40代でそれも辞めた。
私は23年前、彼と同じ病に罹った。入院中どうしても落ち込んでしまい、同じ病だった彼に病院から手紙を送ったのが文通の始まり。
ところが和やかにやり取りしていたある日、彼の母親が亡くなったことで事態は急変。なんと彼は母親の多額の年金を毎月使い込んでいたというのだ。貯金もなく、自分の年金だけでは暮らせないと言ってきた。
やれ車検代を払って生活費がないとか、知人の葬式に行ったせいで手元に5000円しかないとか書いてくるので、彼の渡世下手を憂えている。仕事も続かないそうだ。
そんなダメ男だが、私は私で彼の手紙から癒やしをもらってしまっている。野球の話題や、精神科のドクターとの距離感についてなど、話も弾む。クリスチャンである彼に私の幸せを祈ってもらうための献金、と自分を納得させ、月2万円を援助することにした。
私はこれまで極度のドケチだった。だからこうやって、人に援助したいという気持ちになれたことが嬉しいのも事実なのだ。これからどうなるのかわからないが、彼と思いがけない繋がりができて、ワクワクしている自分がいる。