清水の舞台から飛び降りるような気持ちで手術に踏み切った理由は(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは大阪府の70代の方からのお便り。長い間ためらっていた股関節の手術に踏み切り、趣味のフラダンスの舞台デビューもできた理由は――。

亡き夫がくれた時間

70歳でフラダンスサークルに入ってから7ヵ月。月2回のレッスンが待ち遠しい日々です。人生初のつけまつげを体験し、ド派手な衣装で舞台デビューも果たしました。

昔から音楽がかかると自然に体が動く性格。でも、股関節の痛みがひどくなってからは思うように体が動かせず、もう踊ることもないのだろうか、と悲嘆にくれていたのです。

長いこと手術をためらっていましたが、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで手術に踏み切りました。

私が勇気を出せたのは、3年前の夫の死をようやく乗り越えられたからです。娘も独り立ちし、夫婦でのんびりと神社仏閣を巡ったり、おいしいものを食べたりしようと話していた矢先のこと。がんでした。

亡くなった直後は、自分を苦しみと悲しみの淵に追い込んでしまい、ふさぎがちな日々。でも、それはかえって天国の夫をも追い詰めることになるのではないかと気づいたのです。私が元気で前を向いていてこそ、夫が安心して向こうで暮らせるのだと。

それからは、自分が少しでも楽しい気分でいられるように、好きなことをやろうと決意しました。

手術は成功し、以前のように歌ったり踊ったりを楽しみ、おひとりさま人生を満喫。きっと夫も天国から笑って見てくれていることでしょう。


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