『豚スペアリブのみりんキャラメリゼグリル』(撮影:ローラン麻奈)
『婦人公論』(2023年12月号)の料理連載「お料理歳時記」では、「本みりんでおうちフレンチ」を特集! もち米、米麹、米焼酎から作られる本みりん。その深い味わいを、和食にしか使わないのはもったいない!フランスの家庭料理に取り入れるコツをサルボ恭子さんに習います(撮影=ローラン麻奈 構成=北村美香)

みりんの甘みは、豚肉のお料理によく合う

みりんはもち米を原料とし、醸造・熟成された調味料。いわばもち米のリキュールです。日本古来の調味料なので和食にしかお使いにならない方が多いようですが、この上品な甘みとコクは幅広いジャンルの料理で活躍します。

鶏肉や豚肉といった色の淡い肉と甘みは合うものですが、みりんの甘みは、特に豚肉と好相性。みりんに漬けてオーブンで焼いた肉は、つややかに香ばしく焼き目がつきますし、みりんと煮込めばやわらかくジューシーに仕上がり、煮くずれしない効果もあります。

砂糖の量を減らしてみりんを使えば、デザートも軽やかな甘さに。

「フラン」はあまり耳馴染みがないかもしれませんが、チーズケーキのような弾力を持つプリン、といったイメージでしょうか。フランス人が大好きなおやつです。添えたマーマレイドも、オレンジとみりんだけで作ります。本みりんを使うから生まれる味わいです。

引き算の料理とも言われる和食では、みりんを隠し味程度に使うことで食材の味を引き立てます。一方、フランスの家庭料理は足し算。みりんの風味をしっかりつけても、味を重ねて完成させるので、目立ちすぎることはありません。まずは和食以外でみりんを使うことを楽しんでみてください。

フランスでは、11月半ばにはクリスマスの用意を始める。子どもたちが独立する前はツリーに飾り付けをしていたが、最近は大きな器などに、オーナメントをフルーツと一緒に盛るのがお気に入り。場所もとらず、手軽なのにゴージャスに映る(撮影:ローラン麻奈)