暑中お見舞いは、母の優しい文字と母らしい色合いが素敵で永久保存版です(写真:『54歳おひとりさま。 古い団地で見つけた私らしい暮らし』より)
2021年度の生命保険文化センターの調査によると、世帯主が65歳以降に必要と考える「夫婦の老後生活資金」は、年金を除いて月額約16万円だそうです。まもなく年金を受け取る方も、これからの方も、老後に向けてお金の不安は募りますよね。そんな老後を見据え始める50代直前に、きんのさんは母親の介護のために新築マンションから築50年の団地へと引っ越したそう。50代で介護の資格を取り、介護士として働くきんのさんであっても「親の老化は冷静に受け止められない」そうで――。

介護される人もする人もラクに

介護について勉強することは老後の不安を減らすことにつながるはずという思いもあり、介護の道に進みました。専門学校で学んだことは介護技術だけではありません。

介護する人・される人の気持ちに寄り添って心をラクにする対応や、その人らしさを大切にすること。また、社会全体で高齢者を見守る、支えるという視点を知りました。

母の認知機能が衰え始めたとき、ためらわず地域包括支援センターに相談できたのも学校で学んだおかげ。

ひとりで抱え込みすぎて介護虐待や介護殺人につながる事例も多くあり、頼れるものは頼って助けを求めることで、介護される人もする人もラクになると知ったのです。