小中学生が考えた「老人ホーム」
平成18年に登場した2種類の記号は画期的で、小中学生から公募した。そもそも国土地理院が記号のデザインを外部から募集するのは初めての試みという。
対象となった記号は「老人ホーム」と発電用の「風車」で、これらの記号化が求められたのも、その対象が急増する現実を反映したものであろう。
老人ホームは高齢化が急速に進む日本の象徴的な記号で、管見の限りではこの種の記号を官製地形図に採用した国は聞かない。
国土地理院のホームページに掲載された説明によれば、「老人福祉法による老人福祉施設のうち、社会福祉法上の第1種社会福祉事業の養護老人ホーム、特別養護老人ホーム及び軽費老人ホーム」を表示する。
前述した図書館よりは敷居が低い印象だ。国土地理院によれば、公募当時に表示対象となったのは7885施設(平成15年10月1日現在。内訳は養護老人ホーム959、特別養護老人ホーム5084、軽費老人ホーム1842)であったから、当時存在した市町村数(同年4月1日現在で3190)の2.5倍近い。
小中学生からの応募総数は5万7041点に及んだが、選ばれた記号は家の中に杖をあしらった、施設の性格が伝わりやすいデザインになった。