島の守り神として大切にされる猫
猫島の歴史は江戸時代、養蚕業が盛んだったこの島に、繭を狙うネズミ対策として猫が持ち込まれたことから始まった。明治時代に入り、大型の定置網を使った漁業が発展すると、漁師たちは、分け前にあずかろうと集まる猫たちの仕草を見て、明日の天気や漁の結果を占うようになったという。
そしていつしか、猫は大漁を招き、海難事故を防ぐ島の守り神として大切に扱われるようになった。人と猫の絆の深さは、島の営みから生まれた共生の歴史そのものだ。
現在も、猫たちは島民から餌をもらいながら、半野良状態で暮らしている。狭い人家に閉じ込められることなく、飢えることもない最高の人生、ならぬニャン生! その自由な暮らしぶりがドキュメンタリー映画やテレビ番組などで取り上げられ、田代島は「猫の島」として知られるようになった。
SNSが発達した10年ほど前からは、海外からも多くの観光客が訪れるようになっている。