田代島では猫たちの食べ過ぎや誤飲を防ぐため、観光客が食べ物を与えること、猫じゃらしなどのおもちゃで遊ぶことなどを禁止している。犬の上陸ももちろん、NG

島の守り神として大切にされる猫

猫島の歴史は江戸時代、養蚕業が盛んだったこの島に、繭を狙うネズミ対策として猫が持ち込まれたことから始まった。明治時代に入り、大型の定置網を使った漁業が発展すると、漁師たちは、分け前にあずかろうと集まる猫たちの仕草を見て、明日の天気や漁の結果を占うようになったという。

 

 

そしていつしか、猫は大漁を招き、海難事故を防ぐ島の守り神として大切に扱われるようになった。人と猫の絆の深さは、島の営みから生まれた共生の歴史そのものだ。

現在も、猫たちは島民から餌をもらいながら、半野良状態で暮らしている。狭い人家に閉じ込められることなく、飢えることもない最高の人生、ならぬニャン生! その自由な暮らしぶりがドキュメンタリー映画やテレビ番組などで取り上げられ、田代島は「猫の島」として知られるようになった。

 

アジアの近隣諸国のみならず、フランス、ドイツ、アメリカ、ブラジル、メキシコ、スウェーデン、マレーシア、シンガポール……と世界中から猫好きが。言葉の壁を越え、観光客同士が猫を囲んで微笑み合う

SNSが発達した10年ほど前からは、海外からも多くの観光客が訪れるようになっている。

<後半>はこちら