正直、困った

入院する前までの母は、もっとも軽い「要支援1」でした。

要支援1とは、食事やトイレは一人でできるものの、掃除や身のまわりの一部に介助や見守りを必要としたり、立ち上がるときや片足で立ったりする動作に支えを必要とする状態を言います。

『遠距離介護の幸せなカタチ――要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』(著:柴田理恵/祥伝社)

それが今回の更新で、2段階ある「要支援」よりも上にある5段階の「要介護」のうち、重いほうから2番目の要介護4。つまり、介護なしには日常生活を送ることができない重度の状態と認定されたのです。

正直、困ったなと思いました。

リハビリでどれだけ身体機能が回復するかわからないし、たとえ回復したとしても、いままでのように富山の実家で一人暮らしをするのはきっと容易ではない。やっぱり東京に引き取って、一緒に暮らしたほうがいいのではないか……。

仕事を辞めて親の介護をする人もいる。実際、そういう選択をした知り合いもいた。私もそうしたほうがいいのでは……。

そんな考えが自然と胸のうちに浮かんできました。

でも、それはないな、とすぐに思い直しました。