要介護4
2017年10月に母は腎盂炎(じんうえん)を発症し、入院することになりました。
最初に母の異変に気づいてくださったのはヘルパーさん。
母を病院に急ぎ連れていってくれたのは、母の生家の親戚であるヒトシ君でした。本当に感謝しかありません。
どうしても外せない仕事があり、私が駆けつけられたのは入院から3日後のことです。
そのときの母は、意識が朦朧(もうろう)としており、会話も難しい状態。
私も仕事の都合で1時間ほどしか滞在できず、後ろ髪を引かれる思いで東京に戻りました。
人間ってある日突然こんなことになっちゃうんだなぁ……、あまりの変わりように衝撃を受けました。
しかし、幸いなことに、抗生物質の投与などの治療が功を奏し、熱も下がって回復に向かいました。
最初に母を見舞ってから1週間。
やっと時間の都合ができたので、急いでまた富山の病院を訪ねました。
恐る恐る病室へ入ると、母は静かに横になっていました。
「お母さん」と、そっと声をかけると母はゆっくり目を開け、声のありかを少し探しました。視線が私をとらえると、「あぁ、理恵」と驚いた様子でゆっくり口を開きました。
「お母さん、わかる? 私のこと?」
「うん、わかる。あんたは理恵だ」
弱々しい声でしたが、母は確かに私を認め、はっきりとそう言いました。
「よかったあ、心配したんだよ。えらい目にあったね」
「なーに、まだ死にゃしないよ」
いつもの母の口調(ちょっと口が悪い!)に、これなら大丈夫、と心から安堵(あんど) しました。
ですが、だいぶ回復してきたとはいえ、病に侵(おか)された体は極度に弱ってしまい、その時点ではまだ一人だと何もできない寝たきりの状態でした。
そのタイミングでちょうど要介護認定の更新がありました。
その結果は、なんと「要介護4」。