おっさん(4)あんそのおっちゃん。本名・朴安錫
あんそのおっちゃんはスーパーレアおっちゃんで、私は2、3回しか会ったことがない。けれどインパクトは強烈だった。うちに来てから帰るまで、終始ニコニコと笑っていた。挨拶をするときに子どもに笑顔を向ける大人は多いが、あんそのおっちゃんは本当にずっと笑っていて、根本的な生き方が人とは違うような気がした。そしてどこかのアパートの「※※荘」とマジックで書かれた便所用スリッパを履いていた。
タダ者ではない雰囲気が漂っていたが、あんそのおっちゃんが来たときが親父もおかんも一番嬉しそうだった。親父に「おっちゃんって何者なん?」と聞いても「憎まれへん奴や」と返ってきた。
おっちゃんは数年前に亡くなったが、その訃報は思いがけずネットの記事で知った。そこには映画「パッチギ!」に出てくる喧嘩がすこぶる強いキャラクターのモチーフになっていた、と書かれていた。やっぱりタダ者ではなかった。