ご飯炊きの土鍋
桧山塾には、炊飯器がありません。土鍋で炊いてもらいます。わたしが考える家庭料理の基本は、鍋でご飯を炊き、出汁から味噌汁をつくることです。鍋でご飯を炊いたことがない人はけっこういますから、新しい塾生のはじめの一歩は「鍋炊きご飯」になります。
今はおいしく炊ける便利な炊飯器もあるけれど、災害が多い日本ですから、機械に頼らずにご飯が炊ける方法を身につけておくと、生きる力になります。それに、土鍋で炊いたご飯が一番おいしいと思います。
ご飯を炊くための土鍋は、厚みがある二重蓋なので、火加減が簡単で吹きこぼれません。内蓋で圧力がかかるから、お米の芯まで熱が通って、ふっくらと炊けます。
よく使うのは15年くらい前に買った伊賀焼の「かまどさん」。お米をどろどろになるまで炊く「目止め」をして割れないように気をつければ何十年も使えます。
※本稿は、『97歳 料理家 タミ先生の台所おさらい帖』(文藝春秋)の一部を再編集したものです
『97歳 料理家 タミ先生の台所おさらい帖』(著:桧山タミ/文藝春秋)
料理を人生の友としてきたタミ先生の、「台所じまい」。
まるでスキップするかのような軽やかな生き方が、とても新鮮でした。――小川糸(作家)
「台所じまい」を始めたタミ先生。手元にある道具は、道しるべになった銅のソテーパンから、旅先から持ち帰った鍋や器、半世紀以上使ってきたざるやすり鉢など台所道具、愛用の花柄エプロンや靴まで、人生をいっしょに過ごした「相棒」ばかり。そんな自分の体の一部のように、気持ちよく使えて信頼できる道具をご紹介します。
97歳 料理家 タミ先生が料理で身を立てる道しるべになった銅ソテーパンから、毎日愛用していた花柄エプロンまで、一生もの大公開!