「初きみまろ」という表現にほくそえみ
インターネットをのぞいたら、51歳の方のこんなコメントを見つけました。「友人に『一度、行ってみるといいよ』と誘われて、初きみまろに行ってきました」。そのあとに感想が続くのですが、「初きみまろ」という言い方があるんだ、と感心するのと同時に、51歳で「初」ならば、この先、この年代の方にはまだまだ需要があるなとほくそえみました。ただ、この方が60代、70代になる頃、私はいなくなっているかもしれません。
私の場合、ステージでは決まったシナリオがあるわけではなく、お客さまの反応を見ながら、その都度、状況に合わせてネタを繰り出し、それをひたすら続ける。お客さまが飽きないためにも、常に新しいネタを用意し、提供していきたい。
ですから毎日が勉強で、街を歩いていても、中高年の方々を観察してしまいます。また、その日のステージの漫談はすべて録音し、出番前や夜寝る前、移動中の新幹線の中など、1日に2回は必ず聴いています。話すスピードや声のトーンをチェックする意味もありますが、お客さんの反応を確かめたり、新ネタをかけるときはタイミングのとり方を考える参考にしたり。
そのネタですが、まず政治は扱わない。お金についても、お金持ち、そうでない方、お客さまもいろいろですからネタにはしません。人をこき下ろす、上から目線もダメ。病気や死は、「人間の死亡率は100パーセント」だとか、取り上げるにしても、笑いにできる場合に限ってです。
黒柳徹子さんに引退を相談して怒られた
ライブのお客さまに、最近は若い方も増えました。アイドルのコンサートでは、よく名前を書いたうちわを持って声援を送っていますよね。私のステージでも、「きみまろ」と書いたうちわを振ってくれるのです。そのうちわをパッと裏返すと、アイドルだと「こっちを向いて」と書いてあるのが、私の場合は「カツラをとって!」。いや、嬉しいですけどね。
私のステージは1時間ちょっと。ずっと立ったままで、舞台を横、斜めと、あっち行ったり、こっち行ったり。そして、ずっとしゃべりっぱなしです。歳とともにわが身も衰えていくわけで、気になりますね、体力、発声、滑舌も。それに、ステージの上は暑い。照明は上から下から、後ろからも。衣装はゴキブリにも見えるという裏地つきのモーニング。さらに、頭にはかぶるものをかぶっていますから、これまた暑い。各地への移動時間の長さも含め、やはり体にこたえます。