「したいこと」より「できること」を追う
『婦人公論』の読者は50代の方も多いそうですが、50代なんてこれからですよ。私がブレイクした52歳に絡めていえば「ごじゆうに(ご自由に)、どうぞ」。中高年になってからでも、予想もしない人生が待ち受けていることがあるのです。
ただ、私の場合、ひとつのことを追い求め、30年続けてきた下積み時代のベースがあったからこそのブレイクで、いきなり幸運が飛び込んできたわけではありません。
老後に向けて、何かを始めるのはとてもよいことです。ただ、したいことをして失敗することも多く、若いときと違って、やり直すにはお金も時間も足りない、という事態になりかねません。ですから私は、中高年になって新しいことに取り組むなら、「何をしたいか」ではなく「何ができるか」を第一に考え、それを一所懸命に追いかけるのがいいと思うのです。
世間では、医療や介護、運転のことだとか、高齢者問題がよく取り上げられます。テレビでもそれを特集した番組が多い。私より年上の世代は、そこから情報を得ては、ため息ばかりつくことになります。私もネタづくりや勉強のために、そういう番組を見るのですが、妻によく言われます。「テレビを消して。気分が暗くなるじゃない」と。たしかにそうです。この先の不安をかき立てる情報が多すぎますよね。知らなければ知らないですんだのに、知ったがための不幸もあって、いちいちそれに振り回される。
ただ、私たちを生かしているのは日々の生活です。人生は今日と明日の繰り返し。先のことはわからなくても、「今日一日をどう過ごすか」「明日、どうしようか」で生きていけば、それでいいのではないかと思うのです。幸せかどうかを決めるのは、最後は自分自身なのですから。
いたずらに不安になるよりも、今を「ガハハ」と笑って過ごしたい。そのとき、私の毒舌漫談がお役に立つのなら、こんなに嬉しいことはありません。