華々しい活躍
2016年になり、金本知憲監督に期待された慎太郎は一軍キャンプに呼ばれ、練習試合、オープン戦で華々しい活躍を見せ始めました。
ホームランバッターとして期待を寄せられ、持ち前のがむしゃらプレーで、“バントしない2番”と呼ばれ、長打を狙っていきました。
守備や盗塁においても、ファンから“野生児”と言われるほど、泥臭いプレーで存在感を示し、金本監督をして他の選手たちに「横田くらいの執念を見せろ」と言わしめるほど、ゲームに食らいついていくようになります。
プロ3年目で、結果を出すなら今年だという意識が強かったのだろうと思います。
同時に、“期待の若虎”を応援するファンの人たちもグンと増え始めたことに私も気づきました。
この頃の慎太郎は、一軍でプレーを続けるための闘志と、プロ野球選手としてファンの方に応援していただけるという快感や、みんなを喜ばせたいというやる気に燃えていたように思います。
2月の練習試合でソロホームランを放ち、スタンドからは『六甲おろし』の大合唱が起きました。阪神ファンの中に「横田慎太郎」は、強い存在感を放ち始めていました。
オープン戦が始まると、今度こそ私も甲子園のスタンドに参りましたが、背番号24番のユニフォームを着たファンがとても多いことに驚きを隠せませんでした。
その中には若い女性もたくさんいて、母としてはなんだか気恥ずかしく、そう言いつつも、自分も売店に直行して24番のユニフォームを手に取り、一緒にいた真子(慎太郎の姉)に苦笑いされてしまうのでした。
試合後に慎太郎と合流し、西宮で食事をすることも何度かありました。
慎太郎は無口に見られがちですが、私や真子とはかなり喋っていたと思います。試合で活躍できた後などは興奮しているのか、その日の試合やベンチでの出来事をよく話しました。