熊野は敗者や弱者にやさしい
上野宮司は、さださんについて「熊野の水害の時にすぐかけつけてくださった」と、さださんが流木を集めて作ったステージで歌ったエピソードを。さださんは「こんなときにと思いましたが、皆さん大勢来てくださって盛り上がりましたね。お預かりしてた義援金を届けることがました」と答えました。
宮司は「大自然とは、恵みと試練が共存するもので、その中を自分たちの先祖は生き抜いてきた」と語り、さださんも「熊野は敗者や弱者にやさしい、受け入れてくれる土壌がある。土地が力を与えてくれる気を持っているし、自分を立て直して蘇れる場所」と続けた。
知事は「支える気に満ちている場所なので、何か失敗したら来てください。僕は奥さんに口答えして叱られても熊野を10キロ歩くと許される。悪いことをしても救われる、滅罪と蘇りの地、もう一度生きる力を得るところです」と会場の笑いを誘いました。
話題は1部で紹介された神倉神社の御燈祭りに。権現山の中腹にある神倉神社は、熊野三山に祀られている熊野権現が初めて地上に降臨したという伝説を持ち、山頂には巨大な「ゴトビキ岩」と呼ばれる霊石が鎮座しています。祭りの日には、体感傾斜が80度ともいわれる538段の石段を、神様の火を松明にいただいた2000人の昇子が一気に駆け下りて競うという危険な祭りです。
さださんは「僕は実はお祭りも詳しいんですよ」と前置きし、「人の本能の底に火があり
たくさんの人がなにかに立ち向かう、原始的なお祭りですよね。男性が火をもって駆け下りた先に女性たちが待っている。生物学的な妊娠の構図に似ています。海辺のお祭りらしいですね」と分析。
宮司は「〈原始的〉は誉め言葉です。それが1300年生き続け、大自然や怖いものを畏怖する気持ちが大切なのです」とさださんの言葉を引き継ぎました。
「毎年2月6日のお祭りなので、ぜひ来年はさださんも来てください」と勧誘すると「スケジュールが空いていればぜひ」と笑顔で答えるさださん。
知事は「熊野は、鰹節や梅干し、醤油など、いろんなものの発祥の地でもあります。温泉があり霊場があり癒される場所ですから、心が乾いたら熊野へ」と熊野の魅力を発信して締めくくりました。
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