加藤さん「私が今まで出会った人の中で、彼女以上に素敵な女性はいません」(写真:さだまさしさんのインスタグラムより)
10月25日に歌手として50周年を迎え、記念コンサートツアー中のさだまさしさん。今回はそんなさださんと、国際間のコーディネーターとして長年活躍し、現在は国際NGO 認定NPO法人 AAR Japan[難民を助ける会]の副会長を務める加藤タキさんの対談のようすをお届けします。加藤さんは、「私が今まで出会った人の中で、彼女以上に素敵な女性はいません」と言っていて――。

ヘプバーンほど素敵な女性はいない

まさし ヘプバーンはどんな人だったんですか。

タキ 私が今まで出会った人の中で、彼女以上に素敵な女性はいません。

まさし それはどういう意味で素敵なんですか。女性として?

タキ 女性としても、プロの女優としても本当に聡明。苦労人。

まさし へえー。

タキ 心遣いというのかな。相手が今何を求めてるかをいち早く察知する。これは女性というよりも、プロの女優としてかもしれない。たとえ、たかがコマーシャルでも、今自分は何を求められて、何をしたらこの方たちは喜ぶかってことをきちんと把握している。

例えばね、最初にお目にかかったとき、彼女は相手を見ながら「Mr. Sada, Sada, OK. Sada, Sada」って一人ひとり丁寧に確認しながら名前を覚えるわけ。そして、その後会話すると、「Yes, Mr. Sada」と必ず名前で呼ぶ。

撮影のときに日本からは私以外は男性だったんだけど、みんな「自分の名前、あんなにすぐ覚えて、え、呼ばれちゃったよ、僕の名前」となって、彼女のためなら何でもしてあげようって気になるでしょ?

71年当時、一緒に行った日本の男性は全員が中肉中背、ほぼ全員がメガネをかけてて、全員がグレーか紺のスーツ着て、皆さんカメラをぶら下げていた。

だから、彼女はどうやって覚えたのかわからないけど、その後の会話で「Yes, Mr. Takahashi」「Yes, Mr. Iwasaki」と呼びかける。もうみんな、それだけで感動した。これから2週間、一緒に仕事をする人の名前を覚えるのは当たり前というプロ意識。

まさし 周囲への気配りというのは、それは彼女の少女時代の戦争体験も、やっぱり大きく影響してるのかしら。

タキ 生い立ちのこともあるかもしれない。イギリス系の父と、オランダの貴族の血を引く母のもとに生まれたけれど、なぜか父の愛情に恵まれず、母の薫陶を受けて育って、バレエに打ち込んで。戦争を生き抜いてからバレエを諦め、舞台、映画に挑戦して。抜擢されてから一気に駆け上がるまでに、やはり相当努力して身につけたものだと思う。

まさし 彼女は本当に厳しい少女時代を送ってるじゃないですか、戦争のために命すら危険な状況がずーっと続いて栄養失調で、とにかくどうにもならないような状況だったと聞いています。