メンタルローテーションタスクの実験

このことを証明する実験が、イギリスで行われたメンタルローテーションタスクの実験です。

メンタルローテーションタスクとは、ひとつの図形(平面の図形の場合もあれば、立体の図形の場合もあります)が示され、それと同じ形のものを羅列された5、6個の図形の中から選ぶ、というもの。羅列された図形のほうは回転して示されているために、ひと目で同じ図形を見つけるのは至難の業です。

メンタルローテーションは日本語で「心的回転」という意味ですが、文字どおり、元の図形を見つけるためには、頭の中で図のイメージを思い浮かべて回転させる必要があるのです。そしてこのメンタルローテーションは、一般的に男性のほうが女性より早くしかも正確に答えを出せる、とされています。

この実験では、アメリカ人の大学生にメンタルローテーションテストをやってもらうのですが、テスト前に簡単なアンケートが実施されました。実は、このアンケートがこの実験の肝なのです。

アンケートで所属大学を答えたことで、私は有名大学のエリート学生だというプラスの自己イメージがわき、それがテストによい影響を与えた(写真提供:Photo AC)

そのアンケートで性別の質問をされた場合、女子学生の正答率は男子学生の64%でした。一方、アンケートで自分の所属大学を質問された場合、正答率は男子学生の86%まで上がったのです。

被験者の多くは有名校のエリート学生でした。アンケートで所属大学を答えることで、私は有名大学のエリート学生だというプラスの自己イメージがわき、それがテストによい影響を与えたのです。