生まれた環境によって…
しかし、私たちが発表した論文では、発展途上国の寒い地域では代謝が上がることが明らかになっています。
また、温かい地域に住む人との比較でも、暖房などの影響をとりのぞくと、やはり暖かい国の人のほうが代謝は低く、寒い地域の人のほうが高いことがわかりました。つまり、生まれた環境によっても、平均的な代謝は異なるということです。
さらに、寒い地域でも、近代化が進んでいれば、冬は暖房が効いた生活に変化しています。つまり、寒冷曝露を受けることが少なくなっているので、寒い地域に住んでいても、代謝が上がりにくくなっていると考えられます。
寒い環境に身を置くと、体を温めるために体内で熱をつくろうとします。これをC・I・T(寒冷誘導熱産生)といい、褐色脂肪細胞が関わっているとされています。
ちなみに、食事をするときにも熱がつくられますが、こちらはD・I・T(食事誘発性熱産生)といいます。
ともあれ、寒さの刺激を受けたほうが、代謝が上がって中年太りになるリスクが減らせる可能性があるということになります。