欧米ではクリスマスに太りやすい

ところが現実はその逆で、体重は冬になると増えやすいことがわかっています。これを「ホリデー・ウエイト・ゲイン」(休日による体重増加)といいます。

海外の研究では、クリスマスの頃に太ることがわかっています。欧米にはクリスマス休暇というものがあり、12月20日前後から年が明ける頃まで休暇をとる習慣があります。この期間はごちそうを食べるので、体重が増えるのです。

ただし、クリスマスの前後にごちそうを食べる習慣には理由があります。暖房が今ほど快適ではなかった昔の生活を想像してみてください。先ほど寒冷曝露を受けると代謝が上がるといいましたが、代謝が上がれば上がった分を補うため、たくさんカロリーを摂らなければ寒い冬を乗り切れません。

日本でも薪ストーブが暖房だった時代では、冬に向けて薪割りなどの特別な労働がありました。普段はやらない労働が必要になることによって、消費エネルギーも増えるので、しっかり食べる必要があったのでしょう。

「食欲の秋」という言葉がありますが、これもエネルギー消費量が増す季節に向けて、いっぱい食べておこうという生活習慣から来た言葉ではないでしょうか。つまり、食欲の秋には理由があるというわけです。

漬けものなどの保存食を仕込むのも秋から冬にかけてです。そして、お正月にはごちそうを食べていました。

冬にたくさん食べる文化は世界中にあります。文明が発達する以前から、飢餓に備えるために、寒い季節はたくさん食べる生活をしてきたのだろうと考えられます。そうしないと人類は生き延びることができなかったでしょう。

それが現代になって、冬でもぬくぬく暮らせるようになっても、いっぱい食べる習慣だけは変わらないので、冬に体重が増えるのではないかと推察しています。