12月8日に72歳の誕生日を迎えた落語家の桂南光さん。1970年、桂枝雀さん(当時は桂小米)に弟子入りし、数多くのテレビ番組でも司会を務めるなど幅広く活動してきました。99年に枝雀さんが59歳で逝去し、師匠の年齢を一回り以上越えて去来する思い。そして、もう一度枝雀さんと話せるとしたら伝えたい言葉とは。
(取材・文・撮影◎中西正男)
(取材・文・撮影◎中西正男)
天命は「72歳」
32歳の時にね、知り合いから霊能者の方を紹介されたんです。その人から言われたのが「あなたの天命は72歳です」という言葉でした。
知り合いの方から紹介された方ですし、信じないわけでもなかったんですけど、何といっても40年も先のことですからね。信じる、信じないの前に「まだまだ先の話やから…」とは思いつつ、頭のどこかに「72」という歳への意識があるにはありました。
今年、実際にその歳になったわけですけど、なったらなったで「もう、その歳か」という気持ちにはなったものの「ここで人生を終えるかもしれないから、この1年で何かをやろう」みたいな感覚にならなかったんです。
そこで感じたのが、この72年、本当に好きに生きてきたんやなということでした。
自分のやりたいこと。自分の思っていることに正直に生きてきた。だから「天命」と言われた歳になっても、幸い「アレをしておいたらよかった…」がないというかね。