初めてテレビドラマのお話をいただいたのは2016年です。実は大学4年の時、シナリオ教室に通ったのですが、それまで朝ドラ以外のドラマをまったく見たことがなかったので、自分には無理だと思い8週間で学校からは撤退。
しかし芝居の経験を積んだ後でドラマの脚本に取り組んだら、脳内で登場人物を映像のように動かすという点では、芝居の脚本と変わりない。どう映像にするかはその分野のプロの方に任せて、私は揺るがない土台を作ればいいと気づきました。そして何作かドラマにかかわった後、『らんまん』を書く機会をいただいたわけです。
朝ドラの執筆を終えて、映像、舞台と新たなお仕事のご相談をいただいています。映像の仕事を通じて、これから身に付けなければならないスキルも見えてきましたし、演劇についてもまだまだ課題があります。
残念ながらてがみ座での公演はなかなかできないのが現状ですが、私にとっての主戦場はやはり舞台。みなさんに作品を届けられるように、丁寧に向き合っていきたいです。
「今日一日を、あなた自身の心の力で、よい方向に向かわせなさい」。井上ひさし先生のその言葉を胸に、私は今、ようやくスタートラインに立った、という気持ちでいます。