千利休の美意識

「美意識」は「審美眼」とも言い換えられますが、美を識別する眼力や真の価値を見極める力のことをいいます。

千利休は、非常に優れた審美眼を持っていたと言われます。自らの審美眼により数々の道具などを創造し、それまでの豪華絢爛な茶の湯とは正反対の「わび茶」を大成させました。

枯山水とは、水を一切使うことなく、岩と砂だけで山水をイメージさせる空間を作ったものです(写真提供:Photo AC)

利休が見出したわびの美の代表作といえば、二畳敷の茶室「待庵」や陶工の長次郎に作らせた真っ黒な楽茶碗が挙げられます。

海外の方に喜ばれる教養
楽茶碗は、ロクロを使わずに粘土を手でこねて茶碗の形に広げていく手捏ね成形で作られるため形が均衡ではなく、歪みもありますが、黒一色の簡素な形態は、利休のわび茶の美意識を忠実に表しています。

それは、直接目で見る造形美だけでなく、茶碗を持った時の手の中にすっぽりと納まる手触りや重さ、お茶を飲む時に口に触れる感覚をも大事にし、心の充足を追求するわび茶の精神を丸ごと感じることができるものです。

それまでの茶会では唐物(中国製)の天目茶碗や高麗(朝鮮製)の井戸茶碗などが使われていましたが、この楽茶碗の誕生によって、「和物」と呼ばれる日本で作られたお茶碗が使われるようになりました。