「受容・傾聴・共感」

ところで、カウンセリングでは、「受容・傾聴・共感」という3つの要素がカウンセラーに求められます。

(1)受容……相手に「抱えている感情などをありのままに受け止めますよ」という姿勢を示すこと
(2)傾聴……相手の話を否定せず、耳を傾けてじっくりと聴くこと
(3)共感……相手の気持ちに寄り添って、相手が話したことについて「そうですね」といった気持ちを表すこと

『子どもへの性加害 性的グルーミングとは何か』(著:斉藤章佳/幻冬舎新書)

カウンセリングを受けたことのある方はご存じかと思いますが、カウンセラーは、基本的にはクライアント(相談者)の話を遮(さえぎ)らず、話し終わるまで「ああ、そうなんですね」「なるほど」という具合に、うなずきながらただひたすら耳を傾けます。

そこでは絶対に否定はしません。また、「**と考えていたんですね」「**と捉えていたのですね」と相手の表現したかった気持ちを核心をついた言葉で表現し、何度も丁寧に確認していきます。

さらに「それはつらかったですね」「大変でしたね」といった言葉をかけ、「共感」を表します。

カウンセラーが、この「受容・傾聴・共感」の3つの要素を意識して相談者の話を聴くことで、クライアントも「話を聴いてもらえた」「自分という存在をそのまま受け止めてもらえた」と感じることができます。すると双方に信頼関係が構築されていきます。

カウンセラーとクライアントの間の相互信頼関係を「ラポール」(rapport)といいます。

「調和した関係」「こころが通い合う関係」という意味のフランス語が語源の言葉です。「受容・傾聴・共感」という3つの要素によって、ラポールが形成されていくのです。