(写真提供◎photoAC)

「重要だけど早急でない」ことと向き合う

仕事をする上で難しいのが、「重要だけど早急でない」ことと、どう向き合うかだなあと思います。

私は、雑誌の仕事もしているので、撮影のためのコンテを書いたり、アポイントを取ったり、種々雑多な仕事があります。

かつては、早急にやらなくてはいけないこと、つまり、締め切りが迫っていることから手がけていました。でも……。そうすると、エッセイなど「長いスパン=締め切りがまだ先」の仕事が、どんどん後回しになっていきます。

本当は「自分の文章を書く」ということがいちばん大切なはずなのに……。

そこで、とにかく、締め切りがあったとしても、朝書斎にこもったら、まず最初にエッセイの原稿を書くことに決めました。1時間だけの日もあれば、午前中ずっと書き続けることも。でも、とにかく毎日書く……。こうして「重要だけど早急でない」ことが、やっと暮らしの中に定着し始めたところです。

若い頃は、なんでも頑張って手に入れることばかりを考えていたけれど、頑張りすぎると逃げていくこともある……。いかに力をいれず、はりきらないで、続けられるか? 何かを乗り越えたり、克服しようとせず、今のままでできる方法を探すことが、いちばん確かなようです。

頑張って何かを続けない。考えなくても体が動くルーティンを作ることが早道

 

※本稿は、『歳をとるのはこわいこと? ――60歳、今までとは違うメモリのものさしを持つ』(文藝春秋)の一部を再編集したものです

 


『歳をとるのはこわいこと?――60歳、今までとは違うメモリのものさしを持つ』(著:一田憲子/文藝春秋)

仕事、健康、家族、介護、更年期……なんだか心配ごとだらけの
人生後半戦を助けてくれるもの。

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若い頃から、ずっと何かを怖がってきたイチダさんは、
「怖さの正体って、一体なんだろう」とつくづく考えてきました。
それが、60歳を目前にして「あれ、そんなに怖がらなくても大丈夫かも…?」
と思い出した理由は?

まっすぐ進んで答えが見つからなかったら、「斜めにジャンプ」してみて。
それは、前と違う「新しいものさし」を持って、自分の怖さや不安を計り直すことなのです…!!

イチダさんが「怖い」を少しずつ手放すトライ&エラーがつまった、
笑顔で歳を重ねるための「自問自答」エッセイ!!