母は入院したまま自宅に帰ることなく逝った。そして自宅に残されたのは――(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
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しきたりに惑わされ

母が亡くなり、実家の家じまいを始めた。5年前に父が急逝した後すぐに倒れた母は、入院したまま自宅に帰ることなく逝った。私たち3人の子どもは地元を離れている。

「住んでいなくても親が存命のうちは、家を片付けてはならない」という地元特有のしきたりがある。片付けると、親の寿命が短くなるらしい。それを守ったので、家は5年分荒れ放題。

なかでも、晩年の父が集めた粗大ゴミが納屋や庭に置かれたままになっているのには困った。認知症が進んでいた母の面倒を見ていた父には、変わっていく母の様子がストレスだったようだと、母の主治医から聞いている。

そのつらさから気を紛らわすように、人が捨てた家電を拾ってきては修理していたようだ。

「まだ使えるのにかわいそうやないか」との父の言葉は、自身のやり場のない思いも重ねていたのだろうか。いつ綺麗になるのかまったくわからず、家じまいの出口は果てしなく遠い。


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