隣人がそこまで踏み込んでいいものだろうかと躊躇して……(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは宮城県の70代の方からのお便り。半年ぶりに会った仲の良い隣人が、入院させられていた先は――。

半年ぶりに会えたけど

「シズちゃんが墓参りのために入院先から戻ってくる」と彼女の娘さんから伝えられた。シズちゃんは私の隣人で、引っ越してきた時真っ先に打ち解けてくれた人。以来親しく付き合ってきた。

米作農家だった夫を早くに亡くし、息子と娘の2人を育て上げた彼女。娘のほうは隣町に嫁ぎ、結婚して跡を継いだ長男夫婦と同居となった。

お昼頃、シズちゃんは娘夫婦に両側から支えられてわが家を訪れた。会わなかった半年の間にかなり老け込み、小柄な体がいっそう縮まっている。玄関先で私に抱きつこうとしてよろめく。最後に会った時はまだ足腰はしっかりしていたのに。

彼女はせきを切ったように語り始めた。入院したのは精神科だったと、私はこの時初めて知った。針やハサミが持ち込めず、大好きな手芸ができないと嘆くのだった。