SWork車両は独身に優しい
最後に。「まだ座席条件に欲張るのか」と言われそうだけど、東海道新幹線で単身移動にぜひお勧めしたい席がある。それは『SWork車両』という、7号車だ。
普段はビジネスで移動をする人向けの車両となっていて、オンライン会議も可能。普通車両では、時折嫌な顔をされるキーボードのタイピング音や、ちょっとした作業音も「お互い様」ということで許容されている。
指定席と料金は変わらないし、タイピング音なんて、私にとっては一心同体のようなもの。車両内は基本的に静かなので、本を落ち着いて読むことができる。普通車両で味わうことになる(こっちは仕事中なのに)、居酒屋新幹線の騒がしさも、食べ物の香りもしない。ビールを開ける「プシュっ!」という音も聞こえてこない。ああ、今回はどうも「ピンポン!」も含めて、音に翻弄されているおばさん……。
加えて外国人観光客も見たことがない。たまに普通車両で出くわして困惑するのが、座席の荷物棚の占拠だ。長期間の旅行なので荷物が多いのはわかる。でも今は大型のキャリーケースに関して、別料金を払うシステムになっているはず。それでも自分の座席以外の棚に、堂々と多くの荷物を置いている。彼らにしてみればふつうの行動でも、こちらにしてみれば、唖然とするしかない迷惑行為。これまでに数回、たどたどしい英語や翻訳機で事情を伝えて、スペースを空けてもらったり、乗務員に注意をしてもらった。このストレスがないだけでも、『SWork車両』は楽だ。
今回も行き帰りで、この車両を予約した。さすがに年末年始にビジネスマンはいなかったけれど、これからもこの車両を予約するつもりだ。常にネタを考える身分にとってはありがたい。
座席条件に文句を垂れるくらいなら、グリーン車に乗れと言われそう。でもグリーン車こそ、聞こえてくるのが「プシュっ!」の音に、和やかな会話。PC作業をしていて、おもむろに嫌な顔をされた経験もある。そんなわけで『SWork車両』を推すのだが、できれば、移動中くらいはゆったり何も考えずに、車窓からの景観をぼんやり楽しめる生活になりたい。2024年の私がそう願っている。