サウナルームの様子(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
独身、フリーランス。世間から「大丈夫?」と思われがちな40代の小林久乃さんが綴る「雑」で「脱力」系のゆるーいコラム。読むうちに、心も気持ちも楽に軽くなる……。「脱力」による省エネによって、次へのエネルギーを担保していこう! という本企画。第7回は「おばサウナの楽しみかた」です

国民一斉整い時代なのか

「最近のブームですか? やっぱりサウナで整うことですかね」

……出た。男性タレントのインタビューで、キャッチワード化しているのが「サウナ」。私の周りでも、皆口々に整ったことをうれしそうに話してくれる。ただ聞き手のおばさんは、サウナに20年以上入ったことがない。

「さっき(同じグループの)Aくんからもサウナの話を聞きました。ちょっと話題を変えませんか?」
「あ、そうなんですか。でも僕、サウナ以外になんかあるかなあ。小林さん、最近、整った?」
「いや、私、サウナはちょっと……」
「ええ、なんで? あんなにストレスが発散できるモノ、他にないっすよ」

これが毎度のパターンで、彼らは整い方、マナー、グッズなどを事細かに教えてくれる。おかげで20年以上、サウナに入室していないのに私の脳内にある整い情報だけは最先端だ。友人のスタイリストも、整い布教をタレントから受けていると苦笑しながら

「最近の男性タレントさん、発汗が良すぎてリース品のクリーニングが大変」

とぼやいていた。彼らの代謝が確実にあがっている証明なので、健康にはいい行動らしい。

でも「これは若者だけに限ったブームである」というのが、2020年ごろの私の所感。熱さや我慢にはべらぼうに弱いおばさんからすると、関係のない話。たまごっちのようにいつかブームは消えて、また数十年後に再燃するだけだろうと、ブツブツ。ただ裏腹に、

「……ただ本音として、少しはサウナに興味がある……」

こんな思いもあった。おそらく私と同じ40~60代もおばさん読者たちにも、こんな関心とジレンマを抱えている人も多くいるはず。あの100度という灼熱の個室に踏み込むのは、ちょっとした勇気がいる。「夫はサウナにハマっているけれど、私は……」と言いながら、自宅に留まっていることだろう。

しかし最近、私は小さな葛藤を乗り越えて、ついにサウナへ20年ぶりに再デビューした。その体験談をここから共有していきたい。「おばサウナ」流の整い方がそこにはあった。