「おばサウナ」の整い方、ここにあり

「疲れた~……」

自宅に到着すると、異様なほどの疲労感。そうか私が20年前にサウナに入ったときは「熱いな~」で終わったけれど、当時は売るほどの体力があった。今はない。熱さに体力を吸い取られてしまったらしい。

食事をしようとしたものの、襲ってくるのは眠気。もともと、寝落ちをするタイプではないけれど、この日は今にも寝そうな勢いだった。もう食事はいい、風呂に入ったのだからとそのまま這うように寝室へ向かった。

翌朝。アラームでハッ、と目覚めると隣に知らない男はいなかったけれど「よく寝た~」という、とてつもない爽快感を覚えた。昨夜、眠気に耐えきれず寝落ちをして、そこから8時間、一度も起きなかった模様。

(こんなに深い睡眠はコロナ前に出かけたヘッドマッサージ『悟空のきもち』以来かもしれない)

そう思いながら、繁々と窓の外を見つめる。もう熟睡は金を出して手にいれるようになっていた、40代後半。睡眠には悪と言われても寝る前のスマホもやめられないし、酒はうまい。一説によると酒を飲んで寝ると、ただ気絶しているだけらしいので、私は熟睡なしで生活しているということになる。そりゃ体調も悪いだろう。

そんな睡眠不況下にあったので、SNSで流れてくる「赤ん坊が電池切れをするように突然寝る」動画がうらやましかった。少し前までああやって自分も寝落ちしていたのに、私の睡眠スイッチはどこにいってしまったのか。そう思っていたところに、この完璧なる眠り。これこそ「整った」である。

結論。私流の「おばサウナ」の整い方は、帰宅後の深い睡眠にあった。これはもう十人十色でいいだろう。このコラムを読んで「じゃ、私も……」と出かけた先に、自分流の整い方があるはずだ。約100°に耐えながら汗をかくことかもしれないし、水風呂で震えているときかもしれない。ある意味、非日常体験が何かを及ぼしてくれる。

昨夜は私も「もう行かない」と一瞬塞ぎ込んだけれど、たったの一晩で「また行こう」という気持ちに切り替わった。年を重ねると、食わず嫌いが多くなりがちだが、これくらいの挑戦はゆるく続けていきたい。