「仕事には我慢が伴うものだ」という意識は変わらない

さて、仕事に関する価値観については、意外かもしれないが10代において30代・40代と変わらないか、よりストイックな結果となっている(図表3)。

【図表3】仕事に関する価値観(世代別)(あてはまる計)<『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』より>

「仕事には我慢が伴うものだ」は30代・40代と有意な差がない。

「少なくとも若いうちは、辛くても自分が成長できる環境に身を置きたい」「何かを買うために、お金を稼ぐことを頑張れる」については、比較すると10代が高い結果となった。

努力して頑張ろうという気持ちは、現在の30代・40代と比較して決して弱いわけではないのだ。投入した努力量と報酬の関係についてのシビアな見方は「コスパ」という若者言葉にも表れるように現実主義的であるのかもしれない。

また、「学校や職場、家、趣味の場など、場面によって、どのような自分を見せるか使い分けたい」は若いほど高い。

多元的自己論として研究されているが、様々な場で様々な自分のペルソナ(仮面)を使い分けることで幸せに人生をおくっていきたい、という志向と考えられよう。

また、努力や能力が報われることへの価値観(努力・能力応報観と呼ぶ)についても回答を得ているが(図表4)、30代・40代との比較において5%水準で有意な差は見られなかった。

【図表4】努力・能力応報観(世代別)(あてはまる計)<『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』より>

能力と報酬との関係についても同様である。この点について「Z世代」特有の価値観の傾向は観測できない。