「30代・40代」と「Z 世代」、違いはどこに?
多様化の視点と合わせて、「Z世代」の若手が他世代とどのくらい・何が違うのか、データから見ていこう。
リクルートワークス研究所が2022年に実施した調査である。サンプルサイズは2904。主対象として「Z世代」ど真ん中の16〜19歳を1615サンプル、比較のため30〜39歳を616サンプル、40〜49歳を606サンプル、回答を得た。それぞれの年代層について性別・居住地で割付を実施して集計した。
全対象に対して価値観に関する同一質問を尋ねており、このために、世代間で現在(回答時点)の考え方・価値観について比較することが可能である。他方、過去の10代にこうした質問をした結果と比較するものではないため、あくまで「現在の考え方・価値観が世代間でどう違うのか」を見るための材料である。
順に見ていこう。
まず、周りの人との関係性に関する価値観について図表1に整理した。ひとつのポイントは、人からどう見られるかという視点を強く持っている点である。
「人から羨ましがられることは、自分にとって重要である」や「自分が行動するか否かを決める際、友人にどう思われるかが重要な判断材料になる」について、10代の「あてはまる」割合が他の世代と比較して極めて高い。
Z世代は生まれたときからインターネットが存在し、さらには物心ついた頃にはSNSが存在していた世代と言われるが、SNSを使いこなすなかで、常に自他の状況が可視化されたことで起こった変化だろうか。
筆者はSNSが若者に与えた影響について必ずしも専門家ではないが、この差から様々な議論を思い起こさせられた。ただ、周りの人との関係性に関する価値観がすべて30代・40代と異なるわけではない。
例えば、「自分ひとり、または誰かひとりが褒められるのは、好きではない」については10代(36.1%)と30代(32.8%)では差がない(有意差検定では5%水準で有意な差がない)し、「友人や知人に嫌なことをされたら、本人に直接言うより、付き合いを止めたり減らす方がいい」も全世代で差がなかった。これらは10代特有の傾向ではない。
概して、可視化された自分の情報のコントロールに関する部分は10代が高いが、他の部分には30代・40代とそれほど大きな差はない。他の部分の高低については世代というよりもっと別のファクターがあると考えるのが妥当であろう。