「正常眼圧」

目は大まかに「光を電気信号に変える部分」と、「その電気信号を脳に伝える伝達系の部分」があり、緑内障は伝達系の、電気信号を脳に伝えるケーブルのような視神経の細胞が障害を受ける病気です。

すべての神経細胞は、「圧迫」と「血流障害」によりダメージを受けます。これは緑内障での視神経障害でも同じです。

『100年視力』(著:深作秀春/サンマーク出版)

近視でも遠視でも、緑内障になる可能性はあり、強度近視の目では、目が伸びるときに、視神経の細胞の枝が「機械的圧迫」を受け、血流が悪くなり、視神経障害が起きて緑内障になります。

一方で、遠視の目は目の長さが短くて、目の中の、水の流れ出る場所である虹彩と角膜の間の隅角が狭くなってしまうことで、眼圧が高くなります。

とくに夜間は瞳が開いて虹彩が周辺に寄り隅角を狭くするので、眼圧が高くなります。眼圧が高くなると、相対的に視神経への血流も悪くなり、視神経障害をまねくので、緑内障につながります。

ところで、「正常眼圧」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これはかつてドイツで「10から20mmHg(水銀柱ミリメートル)」が正常の眼圧であるとされた概念です。

けれど現実にはこの正常眼圧内であっても、緑内障が進む人が多くいます。

日本で行われた大規模な疫学調査でも、緑内障患者の7割が正常眼圧であったと報告されています。つまり正常眼圧という概念自体が正しくないのです。