なぜ日本は「緑内障による失明」が多いのか
日本ではしばらくの間、失明原因の1位が緑内障である状態が続いていて、私は由々しき問題だと感じています。
日本では、少し古いデータですが、2016年の統計では失明した人の28.6%もが緑内障でした。一方、アメリカでは8%。なぜこれほどの差があるのでしょうか?
アメリカで失明原因1位の加齢黄斑変性の診断が、日本では十分にできていないことも大きな要素ですが、同時にアメリカでは緑内障の治療で多くの場合に手術が採用され、治っている方が多いためです。
一方の日本では緑内障の治療といえば、点眼薬という保存的な治療です。
点眼での眼圧を下げる治療は意味があります。でもそれだけで良いのは初期の段階です。点眼薬だけで十分に眼圧が下がり、緑内障の進行が止まるケースはまれなのです。
中期以降で、視野欠損が進むような患者さんには、時機を失わないうちの手術が必要です。
1つの緑内障手術方法で効く場合もありますが、複数の手術方法から最適な方法を選ぶ必要があります。ところが、複数の緑内障の手術療法を完全に行える眼科外科医が日本には数えるほどしかいません。
つまり、多くの患者さんにとって手術という選択肢が示されないままに、手術の時機を逸して失明という最悪の結果が多数出ているのが現実です。
私が患者さんに「緑内障の手術をしましょう」と言うと、多くの人が「手術なんてできるんですか?」と驚かれます。
緑内障は手術により治せる病気であることと、正しい手術療法について知らせないと、失明原因の第1位は変わらないでしょう。私は日本人の目をまもりたいとの使命感で、真実を訴え続けています。