言葉と格闘してきた人生

実は、妻の光子さんの物忘れが激しくなっていて。もし俺が死んだらえらいことになると思っているので、こちらができるだけ長生きするのが望みです。

先日も深夜に不調を感じて、東京の専門病院に入院していました。心臓にステントという医療器具を入れる手術を無事終え、3日で退院。ついでに肺気腫も持っているので煙草は止められていますが、妻に隠れて1日2、3本吸っています(笑)。

お酒はもう一滴も飲んでいません。退院の2日後、アルコール禁止の指示に気づかず飲んでしまったんです。慌てて医師に聞くと、「少しくらいなら大丈夫。でもまあ飲まないほうがいいですわ」と言う。どっちやねんと(笑)。でもそれ以来お酒がおいしく感じなくて、やめてしまいました。

長年神戸と東京を行き来して暮らしてきましたが、これからはずっと東京にいることになると思います。かかりつけの病院があることと、近くにおいしい店が多いというのが理由ですね。一番の楽しみと言えば、妻との外食ですから。

けれど書くこと自体は生活の一部ですから、ないと退屈すぎる。筆の衰えは感じることがありますよ。しかし、適切な単語が出てこない時に、適当な単語でごまかさないように自分を律しています。もっといい言葉があるはずだと、分類語彙表や類語辞典をひっくり返すのは、若い頃から変わっていません。思えばずっと言葉と格闘してきた人生でした。

文学賞の選考委員も続けるつもりです。素晴らしい作品に出会う機会だから、辞めるわけにはいきません。読むのはつらくなりましたが、候補作が送られて来るなり飛びつくように読んでいますよ。(笑)