本音でつきあう大切さを実感

そんなふうに考えるようになったのは、ドラマの役柄の影響もあります。僕は2022年に、不動産取引の裏側を描いたドラマ『正直不動産』に出演しました。僕が演じた永瀬財地は、契約成立のためなら嘘もいとわない、不動産屋の敏腕営業マン。

ところがある日、祠と石碑を壊してしまったことで祟られ、《嘘がつけない体》になってしまいます。目の前の相手に本音しか言えないためにトラブルも起こるのですが、最終的にはそれが良い方向へ転がっていく。

最近は、デジタルの「おかげ」なのか「せい」なのかわかりませんが、コミュニケーションが取りやすくなる一方で、人と人との実質的な距離が離れていっている気がします。お客さんや仕事仲間と嘘抜きで向き合う永瀬のように、人との繋がりを強くするためには、面と向かって本音で意見を言い合うことが必要なんじゃないか。彼を演じて、そんなことを強く思うようになりました。

ドラマでは、永瀬が嘘をつこうとするとびゅーん! と強風が吹いてきて、どうしても本音を言わずにいられなくなる、という設定ですが、最近はプライベートでも友だちが、「ほら、言っていいよ!」と僕をあおいで風を送ってくるように(笑)。おかげで本音を言いやすくなりました。