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税金の控除や医療費の自己負担額を減らすなどの優遇制度を活用できていない人は多い、と税理士の板倉京さんは言います。どのタイミングでどんな制度が使えるのかを知っておくことが、老後のお金対策の第一歩です(構成=村瀬素子 イラスト=古谷充子)

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【医療】に関する制度

年齢を重ねるとともに、医療費はかさみがちに。医療費の自己負担を減らすためには、使える公的医療制度を積極的に活用するとよいでしょう。

 

>>入院時期が選べる場合は月をまたがない

入院などで医療費がかさんでも、「高額療養費制度」があるため、一定の限度額を超えた分は払い戻されます。

限度額は年齢や所得によって異なり、仮に70歳未満で年収約370万円未満ならば、月5万7600円です。

高額療養費は月単位で計算されるため、入院時期を選べるならば、月をまたがないほうが自己負担額を抑えられます。

 

>>医療費控除で節税

健康保険や高額療養費制度でカバーできなかった医療費には、「医療費控除」が使えるかを確認しましょう。対象となるのは治療目的の費用で、治療費のほかに、保険適用にならない入院中の差額ベッド代、通院にかかる交通費など。それらの合計金額が年間10万円(もしくは所得の5%)を超えると、超えた部分が控除の対象となります。

これらの医療費控除を受けるには、確定申告が必要です。その際の裏技は、生計を同じくする家族の中で(同居していなくても、親が子どもの扶養に入っている場合なども含まれます)一番所得の高い人が家族全員分をまとめて申告すること。

医療費控除できる金額が増えるうえに、所得税率が高ければ還付金が増えます。

 

>>控除のグレーゾーンを見落とさない

医療費控除は予防目的の費用が対象にならないため、人間ドックは対象外。ただし、人間ドックで重大な病気(がん、心疾患、高血圧、糖尿病などのほか、メタボも含まれます)が見つかり、その治療を続けた場合は人間ドック代も医療費控除の対象にできます。

ほかにも、腰痛など治療目的で資格者による整体の施術を受けた費用は控除の対象に。医師の診断のもとで買った補聴器、白内障など目の病気のためのメガネも対象内です