制度崩壊後だからこそ必要な家庭経営
すべての人は生まれてすぐに異性と母子・父子関係を結ぶところから出発し、恋愛・結婚・独立を経て親子関係とは異なる対等な夫婦関係を構築していくという同じ道をたどる。
そして夫婦関係においては夫と妻のどちらもが、親子のように無条件で価値を提供できるわけではなく、相手に価値を提供すべく主体的に問題解決していかなければいけなくなる、という転換期を迎えるわけである。
たとえば「ちょい残しコップ散乱問題」については妻側の「片付け対象が放置されていると気が休まらないから、家は常に整理整頓された状態を保ちたい(整理整頓する)」という要求と、夫側の「常に家の整理整頓に気を配っていたら気が休まらないから、何も考えずに過ごしたい(整理整頓しない)」という一見すると両立が難しそうな要求がある。
しかし両者はどちらも「家では気を休めたい/リラックスしたい」という要求は共通している。そこでこの目的に対して「整理整頓する」「整理整頓しない」という二つがそれぞれいかに寄与できるかについて考えてみるといい。
すると、「整理整頓する」ことそのものではなく「物が散らからない」ことが大事なことが分かるし、「整理整頓しない」ことそのものではなく「余計なことを考えなくてよい」ことが大事だと分かる。
だとすれば、「余計なことを考えなくても物が散らからない」ようにすればよい。たとえば「(少し間抜けな格好になるが)家ではマイ水筒を首からぶら下げてそれだけを使うようにする」でもいい。お金があるならば「週末だけ家事代行サービスを外注する」でもいいだろう。何かしら問題解決の糸口が見つかるはずだ。
現代の夫婦は、共働き家庭であればお金がある代わりに余暇時間を夫婦で奪い合い、片働き家庭であれば時間がある代わりにお金を夫婦で奪い合う。だが、ここで示したような価値創造と問題解決のマインドを持てば、こうした奪い合いから脱出できる可能性がある。