志穂美 草笛さんには、みんなのモデルになってほしいんですよ。その姿が、私たちの目標や憧れになるんだから。

草笛 皆さんのモデルになるために苦労したかないけど(笑)。

でも、そうかもしれないわね。杉村春子先生が90歳のとき、舞台『晩菊』で姉妹役でご一緒したの。「は~い、いらっしゃいませー」って、90歳とは思えない高い声を出してらして、ますます尊敬したし、私もああなりたいと思った。

傾斜のあるセットだったからちょっと心配でね。何かあったらすぐにパッと手を出して支えられるよう、いつも近くに立つようにしてたの。

志穂美 そういう草笛さんの尊敬の念や思いやりは、端々で伝わっていたんじゃないですか。

草笛 何もおっしゃらないけれど気づいていたと思う。毎日、何かくださるのよ。「こないだまで着てた洋服だけどもう着ないから」とか。帽子もいただいたし、新婚旅行のときハワイで買ったというパジャマも。「新婚旅行? いつ?」と思ったけど。

志穂美 そんな杉村先生を見て、「かわいい」と思われたでしょう?

草笛 そうね。

志穂美 そしていま、私たちが草笛さんを見て、「かわいい!」と思ってます。(笑)

草笛 今日、パジャマもなにも持ってこなかったわね(笑)。そうだ、最後にお願いしておきたいことがあるの。私が亡くなったら、あなたがお花で飾ってくれる?

志穂美 また、そんなこと……。

草笛 でもあなたが派手にバーッと活けたら元気が出ちゃって、また歩き出したりするかもしれないわね。