横綱の歩む道

大相撲には「神事」というほかのスポーツとは違う歴史がある。

横綱は、あの世とこの世の結界であるしめ縄を腰につけて、神を宿らせ、四股を踏んで邪気を追い払う。この伝統の儀式ができるだけの強さと価値のある相撲を、横綱は見せなくてはならない。

元横綱・琴櫻を祖父に、元関脇・琴ノ若(現在の佐渡ヶ嶽親方)を父にもつ琴ノ若は、将来、横綱として土俵入りができるだろうか?霧島も綱をしめられるだろうか?横綱はなるだけでなく、その地位を継続しなくてはならない。横綱の歩む道を見るのは、大相撲ファンの醍醐味でもある。

初日は幕内力士42人が全員出場したが、怪我で休場する力士がいて、千秋楽は36人での戦いとなった。4日目から頚椎症性神経根症で休場している大関・貴景勝は、来場所カド番だが、それを脱して、横綱を目指して欲しい。10勝したものの足の怪我を悪化させて14日目から休場した大関・豊昇龍も、来場所は身体能力を爆発させてもらいたい。

三賞は、殊勲賞を前頭筆頭・若元春が初めて受賞した。若元春は2日目に照ノ富士に勝利し、10勝5敗。早く関脇に戻り、大関を目指して欲しい。琴ノ若は初めて技能賞を獲得した。

敢闘賞を初受賞したのは、出世が早くて髷が結えないまま、照ノ富士、豊昇龍、琴ノ若と対戦して跳ね返された新入幕の前頭15枚目・大の里だ。上位に負けても11勝4敗はお見事だ。