初めてのパリは何もかもが新鮮だった

初めてのパリは何もかもが新鮮だった。

フランス語なんてしゃべれないくせに、ひとりで地下鉄に乗り、そしてタクシーにも乗った。

多くのタクシーには助手席に犬が乗っており、最初はびっくりしたが、これが防犯のためだ、と聞いてちょっと納得した。もちろん日本に帰ってからすぐに真似た。あとはたばこのポイ捨ても真似た。つまり浮かれて、何でもかんでも真似をした、ということだ。今思えば情けない限りだ。

2か月というのは案外長く、撮影は案外暇で、僕のルーティンはなんとなく決まっていった。

朝、滞在していたアパートのそばのスーパーでパンとハムを買い、食べてからひとりで地下鉄に乗り、サンジェルマンデプレまで行き、ドゥマーゴのテラス席でお茶を飲みながら、パリウォッチングをする。ファッションやら、クルマやら。

それから目の前の大きなスポーツ店に寄り、買い物をするときもあれば、意味もなく歩き回ることもあった。