科学的な医療を行うことに尽きる

また亡くなった近藤誠先生をはじめ、現代医療を厳しく批判する医療者もいる。こういう先生たちが書いた本はたちまちベストセラーになったりする。

週刊誌も医療特集をよく組み、「本当はあぶない※※」とか「実は※※が驚くほど効く」とか、常識をひっくり返すような医療情報を流したりする。

そういうバックグラウンドがあって、患者の心の奥には医療に対する不信感のようなものが横たわっているのかもしれない。

そうだとすると、患者家族のクレームというのはけっこう根深い部分から出てきている可能性がある。医者と患者の関係をよくしていくのは、医師の責任だとぼくは思っている。それには、医師が患者に誠実に接し、科学的な医療を行うことに尽きるだろう。

ボールは医師の側にあるかもしれないが、患者家族も医師の説明に説得力があるかどうかよく吟味してほしい。それが自分たちの利益になるはずだ。

 

※本稿は、『開業医の正体――患者、看護師、お金のすべて』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです


開業医の正体――患者、看護師、お金のすべて』(著:松永正訓/中公新書ラクレ)

クリニックはどうやってどう作るの? お金をどう工面しているの? 収入は? どんな生活をしているの? 患者と患者家族に思うことは? 上から目線の大学病院にイライラするときとは? 看護師さんに何を求めているの? 診察しながら何を考えているの? ワケあって開業医になりましたが、開業医って大変です。開業医のリアルと本音を包み隠さず明かします。開業医の正体がわかれば、良い医者を見つける手掛かりになるはずです。