移住後は予測不可能な事態の連続だった。習慣も規則も異なる、何もかもが奇妙に感じる新世界――(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのはサンパウロの70代の方からのお便り。移住先のブラジルで、心を癒してくれるのは――。

異国の地で寂しい思いもあった

63歳の時、私は家庭の事情で遠いブラジルに移住した。移住後は予測不可能な事態の連続だった。習慣も規則も異なる、何もかもが奇妙に感じる新世界。

そこに身を置くなかでは、嬉しいこともあれば、怒りをこらえられず、すぐにでも帰国したくなることもあった。

サンパウロは世界一の日系移民社会で、日常生活は日本語で十分こと足りる。しかし、同じ言語、同じ人種でも意外に噛み合わず、寂しく感じることが多い。

最近になって、片言のポルトガル語でブラジル人と会話できるようになった。

彼らは人懐っこく親切なので、どちらかと言えば片言でのほうが、ほどよいつきあい方ができるというのは一つの発見だ。