「どんな様子です?」
「解散させようとしているようだが、住民たちは抵抗している様子だね。騒ぎがこれ以上大きくならないうちに、俺が解散するように説得しようか……」
「住職は顔を出さないでください。騒ぎが余計に大きくなります。警察に任せたほうがいい」
「あの警察官たちは、うちの寺に反感を持っている様子だったから、任せていいものやら……」
「無届け集会なんだから、解散させるしかないでしょう。指示に従わなければ検挙するはずです」
「とにかく、様子を見てみよう。また連絡する」
電話が切れた。
日村は、また奥の部屋を訪ねて、阿岐本に抗議集会のことを告げた。
阿岐本はうなった。
「ほう、二十人も集まったのか。そりゃたいしたもんだね」
「感心している場合じゃないと思います」
「様子を見に行きてえんだろう?」
「ええ、気になります」
「わかった。俺もいっしょに行こう」
日村は驚いた。
「いや、自分だけでいいです。警察も来てるってことですから、危険です」
「おめえは本当に心配性だな。いいから、稔に車の用意をさせろ」
阿岐本は立ち上がった。