コロナ禍を経た日本は再び「観光亡国」への道を歩んでしまうのかーー(写真提供:Photo AC)
新型コロナで減った訪日外国人観光客も今や急回復。日本政府観光局(JNTO)によれば、2023年10月の訪日客数は、コロナ流行前の19年同月を既に上回ったそう。しかしその急増により、混雑などのトラブルが再び散見しています。「オーバーツーリズム」という言葉も今や広く知られるようになりましたが、実際その影響に悩まされている日本に足りないものとは? 作家で古民家再生をプロデュースするアレックス・カー氏とジャーナリスト・清野由美氏が建設的な解決策を記した『観光亡国論』をもとに、その解決策を探ります。

新しいやり方を求められる観光業

日本の「観光業」には昔から典型的なスタイルがあります。会社の人たちや、町内会のおじちゃんおばちゃんが大勢で大型バスに乗って、大型旅館に泊まってワイワイ遊ぶという、旅行会社が仕切る大量生産、大量消費型のパターンです。

21世紀になって、そのパターンは“オワコン(「終わったコンテンツ」、つまりブームが去ったこと)”と化し、昭和モデルの大型旅館の廃業が相次ぎました。

しかしまだ宿泊や旅行業界ではそのスタイルを引きずっているところも多く、今の時代にマッチしたパターンに切り替わりきれていません。規制やルールの敷き方も、基本的にそのパターンのままです。

しかし、21世紀型産業としての観光業、特にインバウンドを前提にした観光業は、日本にとってまったく新しい領域です。誰も予想してなかったインバウンドラッシュの時代には、規制もマネージメントも、新しいやり方を創造的に考えていかねばなりません。

それは観光業の革命につながります。