観光は桁違いの産業に拡大していく

かつて携帯電話のドコモはiPhoneにずっと抵抗していました。しかし、ソフトバンクが「よし、やろう」ということでiPhoneを導入したら、みんながわっと飛びついて、最後にはドコモも切り替えざるを得なくなりました。現在の日本は世界の中でもiPhone のシェアが高い市場になっています。

2000年代のはじめにマーケティングの世界で話題になった言葉が「ティッピング・ポイント」です。

これは『ニューヨーカー』誌の記者だったマルコム・グラッドウェルの著書『ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか』(高橋啓訳、飛鳥新社)のタイトルでもあり、「あるアイデアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間」のことを指しています。そこから転じて、現在では「臨界点」「閾値」という意味で、多く使われるようになっています。

いつの時代でも既存のシステムや勢力をぶち壊すような何かがないと、産業は活性化しません。

iPhone は、まさしく通信産業にティッピング・ポイントをもたらしました。世界の観光産業も同じく、ティッピング・ポイントを迎えています。

中国人観光客だけでも、すでに世界の観光地が大きな影響を受けているところに、今後はインド、中近東、南米、その他各国・各地域からの観光客が加わり、観光は桁違いの産業に拡大していくことでしょう。