提案されたアイディア
結果として提案された基本的なアイディアが次のようなものです。
(1)定期テストは廃止し、学習内容のまとまりごとに単元テストを行う。
(2)単元テストは国語、社会、数学、理科、英語の5教科に限定する。
(3)単元テスト終了後、希望すれば再テスト(問題は同じではない)を複数回行う。
しかし、実現するためのしくみ作りは、簡単なことではありませんでした。
単元テストはどの時間帯で行うのか。すべての学級一斉で実施することは可能なのか。特に再テストは希望者のみを対象とすることから、どの時間帯に実施するのか。
再テストを複数回実施することは可能なのか。その場合、再テストの問題作成と採点における教員の負担増への対応はどうすればよいのか。
解決しなければならない課題は山ほどあり、恒常的にすべての授業を5分短縮し、45分授業にすることで毎日の日課の中に30分を生み出すことや、新たに採点支援ソフトウェアを導入すること、その他さまざまな工夫を難解なパズルを組み合わせるかのようにして実現させていったのです。
その全貌についてはここでは省略しますが、おおよそ以下のような方法で実施しました。
(1)単元テストは生み出した余剰時間を活用し、1校時目(1時間目)の前に設定して行う。ただし、生徒の負担を考慮し、1週間の中に2教科を超える単元テストが行われないよう各教科で調整する。
(2)再テストは希望するすべての生徒が受けることができるが、1回のみとする。希望した場合は、1回目のテストは成績に反映されず、2回目のテスト結果をもって成績とする。
これによって、生徒たちのテストに向かう姿勢、行動は自律型に大変貌を遂げました。
※本稿は、『校長の力-学校が変わらない理由、変わる秘訣』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『校長の力-学校が変わらない理由、変わる秘訣』(著:工藤勇一/中央公論新社)
著者は『学校の「当たり前」をやめた。』で反響を呼んだ麹町中学校・前校長。現在、校長を務める横浜創英中学・高校の改革も適宜紹介。
その気になれば、校長はここまでできる! 全教員必携の経営論・人材育成論にして、保護者向け永久保存版テキスト。